村山医療センター
文字サイズ
  • 標準
  • 拡大
トピック

コロナパンデミック in カリフォルニア 
-すべての人の“自由”や”権利”が共存し、健康第一の社会が実現できるためには-

 2020年10月1日より村山医療センターの整形外科に赴任することとなりました小林喜臣です。私は2018年1月から2020年9月まで米国カリフォルニア州サンディエゴにあるUniversity of California, San Diegoに留学し、Dr. Marsalaの研究室でpostdoctoral fellowとしてALSなど中枢神経疾患に対する遺伝子治療やヒトのiPS細胞を用いた脊髄損傷治療に関する研究に従事する機会をいただきました。今回は現地での様子を簡単に報告させていただきます。

 

 サンデイエゴは、米国西海岸、メキシコ国境近くにある全米で7番目に大きな都市で、アメリカ主要29都市中3番目に治安が良いようです。気候は温暖で一年中雨が少なく、ほとんど毎日太陽を拝むことができます。元々メキシコ領であったことから、サンデイエゴという地名はもとより、地名や通りの名前もスペイン語に発するものが多く、スーパーでもタコスやトルティーヤといったメキシコ料理を簡単に購入することができます。近隣にはビーチも多く、週末には家族でバーベキューやサーフィンを楽しむ人には非常に過ごしやすい楽園のような場所です。

COVID-19 (新型コロナウィルス感染症)

 そんな中、2019年12月に中国湖北省武漢市で原因不明の肺炎が報告されました。現在では、COVID-19 (新型コロナウィルス感染症)として知られ、世界中に拡散しています。日本でも2020年1月に初めて新型肺炎の患者さんが報告され、当時大きなニュースになりましたが、当初米国での新規発生がなかったためか、比較的楽観的な雰囲気でした。その後、ワシントン州シアトルで初めての感染者が報告されましたが、同僚たちは対岸の火事という感じで、(日本を含めて)アジアは大変だね〜なんて声をかけられていました。2月に入り、米国東海岸のニューヨークでの惨状が連日報道されるようになり、徐々に雰囲気が変わっていきます。3月になるとWHOがパンデミックを宣言、3月19日についにカリフォルニア州でもロックダウンの指示が下され、一切の出勤・通学が禁止されました。当然私も自宅でのデスクワーク中心となり、息子もオンラインでの幼稚園の授業が始まりました。(大人の私もそうですが、、、) パソコンの前で一定時間の講義を聞くと飽きてしまうので、幼稚園の先生たちも子供の興味を引くように精一杯頑張ってくれていました。

 当初は2-3週でロックダウンは解除されるだろうという意見が大半で、早めの夏休みが来たと喜んでいる同僚も多かったと記憶しています。深刻な状況でも笑いや喜びに変えることができるアメリカ人のポジティブな反応に驚かされたのを記憶しています。その後、4月にはニューヨークでの新規発生数が1万人を超え、カリフォルニア州でも外出時のマスク着用が義務化されました。ほとんどの人が在宅勤務となり、普段通勤で渋滞となるfree wayもこの時はガラガラといった感じでした。(写真1)そのような状況でも一部の人は呼吸することは神から与えられた”権利”であり個人の“自由”であるとの主張を展開し、街中でもマスクの着用は徹底されていませんでした。

抗議デモ、一部では暴動・略奪も

 5月に警官によるアフリカ系アメリカ人に対する暴行が報道されると、全米で抗議デモが行われ、一部では暴動・略奪が行われました。通勤していた研究所の目の前でもデモが行われ帰宅できないことや、家の近くの銀行が放火される暴動があり(写真2)、とても怖い思いをしたことをよく覚えています。



さらなる治安の悪化が懸念される中、安全を優先し家族は先に帰国してもらうこととしました。当然、旅行者も少なく、ロサンゼルス国際空港はほぼ貸切り状態でした。(写真3)

 その後、アメリカは経済優先の方針のため、屋外でのレストラン営業などが再開、出勤も徐々に緩和されていきます。5月下旬からは私の勤務もほぼ今まで通りの体制となり、仕事もひと段落した為、私も9月に帰国する運びとなりました。

 その後、新規感染者数も1日20万人を超え、急増の一途をたどっていますが、”自由”第一なアメリカ人がstay homeを数ヶ月も持続できるはずもなく、また、陽気なサンディエゴの人たちは日々ビーチでサーフィンやバーベキュー、ジョギングを楽しんでいると確信しています。

個々人の”思いやり”が

 日本でも今後の感染状況には注視が必要ですが、私が日本に帰国後に驚いたのは、外出先でもすれ違う人全員がきちんとマスクを着用していることでした。もちろん日米では、医療資源へのアクセスの簡便さの違いや経済格差など根深い様々な問題があるとは思いますが、米国では何が原因でここまで感染が拡大したのか?今後、どうすれば日本での感染拡大を抑えることができるのか?

 個人の多様性が重んじられ、すべての人の“自由”や”権利”が共存し、健康第一の社会が実現できるためには個々人の”思いやり”が必要なのではと思っています。

整形外科,脊椎,脊髄,脊髄損傷,リハビリ,国立病院機構のナビ

独立行政法人国立病院機構 村山医療センター 東京都武蔵村山市学園2-37-1

Copyright 2014 Murayama Medical Center ALL RIGHTS RESERVED.