特発性側弯症について
診断のポイントと治療、紹介のタイミング
村山医療センター 医長
八木 満
脊柱側弯症とは背骨がさまざまな原因で弯曲してしまう病気で、通常、お子さんに発症しますが、脊椎の疾患の中でも特殊な病気で、その病態や自然経過は様々です。
この中で、明らかな原因がなく学童期に脊柱が弯曲する病気を思春期特発性側弯症と呼びます。
側弯とは
脊柱が回旋を伴って10度以上側方に弯曲する状態をさします。
思春期特発性側弯症の治療法は、病態や側弯の進行度に応じて、経過観察や装具療法あるいは手術療法を行います。アメリカおよび日本の思春期特発性側弯症の治療ガイドラインでは
装具が必要となる場合は、
骨成熟が未成熟で、成長期にあり側弯の大きさが20度を超える場合
手術が必要となる場合は、
1.側弯症の進行が45~50度を超える場合(腰椎はもう少し小さい)
2.明らかに側弯症の進行が50度を超えると考えられる場合
3.コルセット治療が有効でなかった場合
痛みや美容的な理由は手術の相対的な適応ということになっています(必ず手術をしなければならないというわけではない。もしくは、手術をすれば必ずしも改善するわけではない)。この基準の根拠は、アメリカのアイオワ大学の研究結果に基づいています。側弯症の進行が45度を超える場合、この側弯症は将来にわたって年間約1度づつ進行することが報告されています。80度を超える場合、呼吸の問題や心臓の問題が出てきます。ですので、多くの場合手術が必要となります。
装具治療
多くの場合ボストン装具というカーブを矯正し保持するための装具で治療を行います。側弯の進行を止めることを目的とします。
手術治療
側弯症の手術治療は大きく二つに別けられます。
1.後方矯正固定術(背中から行う)
2.前方矯正固定術(おなかから行う)
側弯の部位、程度に応じて両者から選択します。一般的に胸椎であれば、後方矯正固定術を、腰椎であれば前方矯正固定術を行われています。また一部の重度の側弯症では1,2の両方が必要になる場合があります。
ご紹介のタイミング
脊柱側弯症に対する診断および治療には専門的な知識や技術、経験が必要となります。また、ご本人およびご家族の不安を取り除くために、ご本人およびご両親との継続的な充分なコミュニケーションが必要となります。
学校の検診で側弯症を指摘された場合、体幹の変形をご本人またはご家族が気付かれた場合、または体幹変形の治療でお困りの場合にはご紹介ください。
当院では小児および成人の脊柱側弯症をはじめ、様々な脊柱変形に対し多くの治療経験を持つ医師が診療を担当いたします。担当医師は日本とアメリカの側弯症学会の会員であり、豊富な脊柱変形の治療経験を有します。また、担当医師の八木満は毎年アフリカで小児の重度脊柱変形の手術治療を行っています。
診察時間はお子さんが通学後に来院できるように夕方に側弯症専門外来を行っております。
紹介患者さん予約方法について
「紹介患者さん予約方法」をご参照ください。