独立行政法人 国立病院機構 村山医療センター

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スタッフに聞く

人工膝関節置換術とは 関節治療の最前線


笹崎 義弘 (ささざき よしひろ)
村山医療センター 整形外科 室長


sasazaki 人工膝関節置換術に積極的に取り組んできた村山医療センター。

人工膝関節置換術とは、どのような手術なのか?
笹崎室長に聞いてみました。


人工膝関節置換術とは

聞き手:笹崎先生のご専門はどのような分野でしょうか?

笹崎:膝関節、股関節疾患を専門としています。小さな皮膚切開で行う人工膝関節・人工股関節置換術や、関節鏡を使用した膝関節手術などを担当しています。

聞き手:人工膝関節置換術についてお聞きしたいのですが。

笹崎:当院はもともと脊椎の専門病院でした。
年配の方の場合、脊椎の病気、例えば脊柱管狭窄症と関節の病気を同時に持っている方が大勢いらっしゃいます。
脊椎でかかった患者さんから関節治療の要望も出てくるわけですから、関節の病気の患者さんは自然に増えます。そのような背景もあり、当院では、14年位前 から人工膝関節置換術にも積極的に取り組むようになりました。

聞き手:センターでは年間、膝関節は約80件、股関節は約70件、かなり多い手術件数ですね。

人工膝関節置換術とは

人工膝関節置換術は、変形性膝関節症や関節リウマチといった膝関節の障害の治療のために行われる除痛と膝関節の機能回復を目的とした手術です。日本でも年間約7万件行われている一般的な手術です。手術は痛いですし、リハビリも辛いですが、その辛さを乗り越えれば、痛みも軽くなり、自分でできることの範囲も広がります。
関節の軟骨というのは、1回すり減ったりとか消耗したりするとなかなか回復しません。自然に治ることが難しい組織であるため、徐々に病気が進行してある程度の年齢に達するとひざが痛いとか股関節が痛いというような症状になるわけです。


人工膝関節置換術とはどのような手術なのか

変形性膝関節症や関節リウマチといった膝関節の障害の治療のために行われる除痛と膝関節の機能回復を目的とした手術です。
膝関節の痛みのもととなっている擦り減った軟骨と傷んだ骨の表面部分を取り除いて、人工膝関節部品(インプラント)に置き換えます。


年齢に関係なく関節は治ります

sasazaki 聞き手:脊椎と関節の治療は違うのですか?

笹崎:私たちが扱う関節は、脊椎と比べ神経が集中していないので、治りやすい分野なのです。脊椎はどんなに優秀な医師がどんなに良い手術をしても、神経というデリケートなものを扱っているので、術後に脊髄麻痺がおきたり、トラブルの可能性があります。

その点、関節は人工関節に置き換えてしまえば、劇的に痛みはなくなりますし、歩くこともできるようになります。
目に見える成果がでるので、関節の手術は患者さんの満足度が高いのです。

聞き手:年配の方が関節の病気をもっているケースが多いとのことですが、人工膝関節置換術を受けるのに、年齢がネックになるようなことはありますか。

笹崎:手術の難易度に年齢は関係ありません。
ただし、変形が激しくなる、または先天的に股関節が外れかかっている方が変形性股関節症になるケースでは、股関節が外れる度合いが大きいほど、治療が難しくなるという傾向はあります。手術を受けるか受けないかの前に、早めに診断を受けたほうが良いでしょう。

聞き手:人工膝関節置換術を受けるのに適当な時期はありますか。

笹崎:この手術での一番の問題は、人工関節に寿命があるということです。
股関節のケースですが。クッションになるポリエチレン部分が年間に0.08mm、わずかですが磨耗します。磨耗が激しくなると、クッションの部分だけ入れ替えなくてはならないので、手術を2回受けることになります。
誰でも2回も手術を受けるのは嫌ですから、1回で終わらせるには、50代半ばに受けられることが望ましいと言えます。
膝関節について言えば、60歳以降が望ましいですね。

聞き手:人工膝関節置換術は痛い手術だと聞いていますので、1回ですませたいですね。

笹崎:みなさん痛い手術と思われているようですが、最近はだいぶ変わりました。


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