主治医はいますか? 誰がトータルに診てくれる…
植村 修(うえむら おさむ)
北多摩西部医療保健医療圏地域リハビリテーション支援センター 事務局長
村山医療センター リハビリテーション科 医長
患者さんのご家族の負担も考慮に入れ、それぞれの患者さんに合わせた「オーダーメイド」のリハビリテーションを。
回復期リハビリ病棟(脳卒中、頭部外傷、神経・筋疾患のリハビリが中心)、脊髄損傷専門病棟、整形外科病棟(骨折、関節リウマチ、頚椎・腰椎の疾患が中心)(うち亜急性期病床32床)
ボランティアがキッカケだった
聞き手:先生は、なぜリハビリテーション専門科医を選ばれたのですか?植村:学生の頃、障害者ボランティアをしていたことがキッカケになったように思えます。
「色々な障害をもっている方に対応できる医者になりたいなあ。」
そんな気持ちがあったので。内科でもないし、外科でもないし・・・すると広く診ることができるのはリハビリテーション科。選んだのは、リハビリテーション医だったわけです。
聞き手:リハビリテーション専門科医という言葉に耳慣れないところがあるのですが。
植村:それはしかたがないことですね。たぶんリハビリテーション専門科医は、全国で1600人くらいではないでしょうか?
聞き手:1600人!?それは少ないですね。
植村:まだ日本では新しい分野の医療ですから。リハビリテーション専門科医をおいている病院は、とても少ないですね。
主治医はいますか?誰がトータルに診てくれる…
聞き手:リハビリテーション専門科医の役割に、「機能回復と社会復帰を総合的に提供すること」とあるのですが。総合的とはどのようなことでしょうか。
植村:少し極端な例ですが、ある患者さんががんの手術をしたとします。その病院はがんを専門とするがんを研究する場所かもしれません。がんに対して専門であるということは、がん以外には少し弱いかもしれません。
主治医とは患者さんが生き生きと生活できるように、障害や病気全般を診るという役割があります。私たちは、ひとつの病気だけではなく、病気や外傷の結果生じる障害を診断、治療するので総合的という言葉が使われるのです。
聞き手:では、他の専門医との連携では、プロデューサーのような役割もされるのですね。
植村:そうかもしれませんね。
専門性がこれだけ多くわかれると、主治医という定義もあいまいになってきます。高血圧ではこの先生、腰ではあの先生にかかっているというように、何となく流れで内科の先生が主治医になっている…
聞き手:誰もトータルに診ていない?
植村:そう言えるかもしれません。
聞き手:主治医という言葉で思い出したのですが、介護認定に必要な意見書は主治医が書くことになっていると記憶しているのですが。
植村:主治医が意見書を書きます。意見書の書き方で介護認定されないということもあります。病気を診るだけではなく、制度面でも主治医の果たすべき役割はあります。
聞き手:かかりつけの主治医がいないという場合もこちらで相談にのっていただけますか?
植村:はい、喜んで。
ご家族の方から介護支援専門員(ケアマネージャー)さんまで
聞き手:患者さんへサービスする側からの相談も受けられるのですか。
植村:もちろん、介護支援専門員(ケアマネージャー)さんやヘルパーさん、セラピストさんでもかまいません。
食事の介助にヘルパーさんが入るケースは多いのです。
「この人ちょっとむせたりするけど大丈夫?」など、心配をかかえているヘルパーさんもいらっしゃいます。患者さんによっては、ヘルパーさんを通してしか医療と接触できない方もいらっしゃるので、連携は大切ですね。
聞き手:患者さんの側から言えば、ヘルパーさんを通してお医者さんに伝えるという方法もあるわけですね。
植村:介護支援専門員(ケアマネージャー)さんやヘルパーさんから患者さんの心配事を手紙でいただくこともあります。
いただいた相談は内容によって、当院の医師、看護師、療法士(PT,OT,ST)、セラピストなどが回答いたします。
高い専門性と充実したスタッフ
植村:う~ん。そうですね、多摩地区はリハビリテーションの専門医が数人程度しかおりません。当院のリハビリテーション科は、専門医が二人、医師四人の体制です。また経験豊富なセラピストもおりますので、あらゆる疾患に対応できるというのが強みではないでしょうか。
聞き手:どうもありがとうございました。