独立行政法人 国立病院機構 村山医療センター

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スタッフに聞く

Cortical bone trajectory法とは


村山医療センター 医局秘書
アルーナ


CBT法こんにちはアルーナです。 

「低侵襲手術とは???」のレポートに登場した腰椎固定術のCBT法について、整形外科の加藤先生にもう少し詳しく聞いてみました。


この術式の始まりは?

CBT法(皮質骨軌道法)はHynes先生によって開発され、2011年にアメリカから伝わりました。当時、防衛医大に在籍していた谷戸副院長はこの術式に早くから注目し、さまざまな基礎研究を行いました。まず、その安全性と有効性を評価する必要があったからです。腰椎CTの詳細な検討や力学的評価により、この術式が安全かつ有効であることが確認されました。

Cortical bone trajectory

従来の方法との違いは?

やはり低侵襲性です。この術式は金属のスクリューを用いて腰椎を固定するのですが、従来のスクリューの入れ方と異なります。より内側からスクリューが入るため、傷を大きく広げる必要がなくなり、筋肉や神経などをできるだけ温存できます。つまり、出血が少なく、術後の痛みも少なくなります。痛みが少ないということは、起立、歩行も早期に可能となり、社会復帰も早くなります。

どのような患者さんに有効なのでしょうか。

腰椎にすべりや不安定性などがあり、腰椎の固定をしなければいけない患者さんに適応になります(特別な例外はあります)。CBT法スクリューには強固な固定力があるため、特に高齢者や骨粗鬆症の患者さんに有効です。

この術式の欠点は?

低侵襲手術従来法よりも術者に技術と習熟が必要です。

手術時間は長くかかりますか?

従来の方法とそれほど変わるものではありません。

費用負担は高くなるのですか?

従来の方法とまったく変わりません。

CBT法はどこの病院でも手術が受けられますか?

術者が技術を要するため、限られた病院でしか受けられません。さらに村山医療センターでは、より強固な固定力を獲得するために理想的なスクリューの軌道を追求し、こだわりを持って手術しています。

加藤先生はこのCBT法では第一人者といわれていますが。

CBTCBT法の基礎研究の第一人者は間違いなく松川啓太朗先生です。松川先生は防衛医大出身で今は自衛隊中央病院で仕事をされています。CBT法に関する英語論文だけで10編だされており、内外でも有名です。
2016年に、谷戸副院長が筆頭編集でCBT法の基礎と臨床をまとめた本を出版されました。防衛医大(執筆当時)の松川先生が主に基礎、私(加藤)が実際の手術手技と工夫、大阪大学の海渡先生が臨床成績を担当して執筆しました。世界でも唯一のCBT法の本です.4人の執筆者のうち2人が当科に所属していますので、村山医療センターはCBT法の第一人者がいる病院といえるかもしれません。

Cortical Bone Trajectory(CBT)法―理想の軌道がここにある(三輪書店)
谷戸 祥之 (著, 編集), 松川 啓太朗 (著, 編集), 加藤 貴志 (著), 海渡 貴司 (著)

今後の展望について教えてください。

当院の矢内先生もCBT法の素晴らしい臨床成績について学会報告をしてくれています。まだ日本に紹介されてから6年しか経過していない術式ですが、スタンダードな手術手技として確立し、治療戦略の一つとして次世代に受け継がれていくと思います。そして、さらにいろいろな研究が行われていくことで、発展性の大きな術式だと思います。

CBT 谷戸副院長開発者のHynes先生と谷戸副院長 香港にて


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